今回お話するのは
死と破壊をもたらす堕天使
アバドン
です。
仮面ライダーにも登場する名前ですが、モチーフはこの堕天使でしょう。
アバドンとは?
アバドンは新約聖書「ヨハネの黙示録」に登場する神の使い。
元々は悪魔ではなく、「神に従わない人間だけを苦しめる」ように神から遣わされた神の使い。
その部分が後世の学者によって「堕天使」と解釈されるようになった。
~アバドン~
- 英字表記: Abaddon
- 別名: アポリュオン(Apollyon,Apollion)
- ヨハネの黙示録 九章~
- ユダヤ人の言葉で「破滅」
ギリシャ神話の太陽神にして予言の神「アポロン」が原型とされている。
その為、別名が「アポリュオン」となっている。
アバドンの外見
ヨハネの黙示録において、その外見は記述はされていない。
ただ、正式な手順で呼ばなければならず、
「悪魔の中でも特に恐ろしい姿で現れ、正式な方法で呼んだとしても、直視すれば気を失う」
と、全ての悪魔の中でも特に見るに堪えない姿という。
そんな中で、17世紀の書物「天路歴程」という書物に、その姿は記載されている。
- 全身には魚の鱗
- 腹からは火と煙
- 獅子の顔
- 竜の翼
- 熊の足
- 鎌を持つ骸骨の背中に乗っている
- 背中には天使の翼
と、確かに見れば気絶しそうな姿をしている。
ヨハネの黙示録には、後述する彼が従えるイナゴの外見が記されているが、そちらも同じく不気味な外見である。
アバドンの名前の意味
アバドンの名前はいくつかの意味があるが、元々はユダヤ人の言葉で「破壊する」という意味である。
特に「破壊の地」「奈落」など地名に関する名前が多かったりする。
神の使い、天使、悪魔と考えることもできるが、「奈落」という言葉には以下の解釈があり、
「地獄の鍵」を管理し、サタンを封じ込めている。
その役割の大きさからルシファー、サタン、サマエルと同一視
このことから、アバドンの名前には「奈落の王」という意味もある。
ヨハネの黙示録「第五の天使」
ヨハネの黙示録というのは「人間の世界が滅亡していき、最後には希望が現れる」姿を描いたもの。
書物内で、「7人の天使がラッパを吹くと、災いが地上にもたらされる」という。
その中で、「5番目の天使」がラッパを吹く場面で、アバドンの名前は現れる。
そこではこう記されている。
第五の天使がラッパを吹くと、底なし縁に通じる穴を開くカギが与えられる。
大きなかまどから出るような煙が穴から立ち上り、太陽も空も穴からの煙の為に暗くなる。
そして、煙の中からイナゴの群れが地へ飛び出る。
このイナゴには地の草やどんな青物、どのような木も損なってはいけない。
しかし、額に神の刻印を押されていない人間だけには害を加えてよい。
ただしその人を殺してはいけないが、五か月の間苦しめることは許される。
イナゴが与える苦痛は、サソリによって刺された時の苦痛と同じ。
傷つけられた人々は五か月間、死にたいと思っても死ぬことはできない。
死を願っても死の方が逃げていくのである。
アバドンの従えるイナゴたち
アバドンの従えるイナゴの記述は聖書にしっかりと記されています。
- 出陣の用意を整えた馬
- 頭には金の冠に似たものを着けている
- 顔は人間の顔
- 髪は女の髪
- 歯は獅子の歯
- 胸には鉄の胸当ての様なもの
- 羽音は戦場に急ぐ戦車の音
- さそりのように尾と針
ヨーロッパなどでは、蝗害が恐れられており、彼が従えるイナゴたちの姿が非常に恐ろしい姿をしているのも、彼らが恐れられている証拠と言える。
仮面ライダーアバドン
ネタバレがあり。
劇場版仮面ライダーゼロワン
REAL×TIME
に登場する量産型仮面ライダー。
名前の由来はこのアバドンで、彼の従えるイナゴたちをモチーフとしている。
まさに蝗害であり、夥しい数で主人公たちに襲い掛かる。
実際は
変身者は一般人であり、匿名という盾を振りかざして好き勝手するネットの住民であった。
彼らにはそれぞれ背景はあるが、社会への不満からネットで誹謗中傷や、何かに群がって叩く姿は、蝗と変わりはない。
2020年にはコロナで、ネットではこういった問題が多かった。
このアバドンはそういった社会を表していると評されている。
まとめ: 堕天使アバドン
今回は堕天使アバドンについて紹介させていただきました。
元々、蝗害は古代から人類が嫌々ながらも付き合ってきた災害です。
そういった災害を神話に何かしら例えて登場したのが、この堕天使アバドンといえるでしょう。
- アバドンは聖書に出現する堕天使
- 名前の意味は「奈落の王」「破壊する」など
- サタンを閉じ込めていることから「サタン」と同じと言われている
- ヨハネの黙示録の第五の天使が呼び出す
- 正式に呼び出しても「気を失う見た目」をする
- 彼が従えるイナゴは神を信じない人間を傷つける
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