今回紹介するのは
熊の女神様?
アルティオ
です。
ケルト神話に興味がある人はぜひ一読してみてください。
アルティオとは?
アルティオはケルト神話の女神。
ドイツやスイスで信仰されていた女神で、その後ローマ帝国に組み込まれ女神でもあります。
~アルティオのプロフィール~
- 欧文表記: Artio
- 名前の意味: 熊
- 出典1: スイスの遺跡
- 出典2: ドイツの遺跡
アルティオ: 発見された熊の木彫り
1832年、スイスのベルンで熊の青銅像が発掘されました。
- 20㎝程度の青銅像
- 椅子に腰かけて右手に杯を持った女性
- 女性の正面に樫の木
- 樹から舞い降りた熊が女性の方へ向かう
- 女性の横には果物の籠を載せた供養台
- 台座には「女神アルティオに捧げる」とラテン語で
作成された時期は、紀元前ぐらいという可能性があります。
そして、この熊の銅像に対する解釈は主に2つ存在します。
それぞれ見ていきましょう。
1: 豊穣の女神
19世紀スイスの文化人類学者の「バッハオーフェン」はこう主張しました。
この彫像の女神アルティオは豊穣の女神である。
そして、熊の方は女神アルティオの古い姿である。
このように主張し、アルティオは作物の実りや動物の多産をもたらす「豊穣の女神」と解釈されています。
2: 天の神
その一方で、スイスの人学者「クリスティンガー」はこう主張しました。
樫の木は神聖な樹木であり、そこから降り立った熊は天の神である。
豊穣を約束するアルティオを受胎させにやってきたことを表している
このように主張し、神が女性を誘拐して妊娠させるという世界の神話ではよくある「聖婚」を表現していると解釈されています。
アルティオ: 女神から男の神へ
ケルト神話では「野生動物」と女神の組み合わせは珍しくはありません。
ガリア南部で信仰されていた「アンダルタ」は「強大な雌熊」を意味する「戦いの女神」です。
そして、フランス東部のアルデンヌ地方のアルドゥインナは「猪に乗った女神」です。
後世ではこれらの地域がローマ帝国の地図に組み込まれ、神々もそれに合わせて変わっていきました。
アルティオも男権社会であるローマに合わせたのか、男神「アルタイオス」へと変化。
まとめ: アルティオはこんな女神
今回はケルト神話の熊の女神アルティオについて紹介させていただきました。
ローマは一時期世界一大きい国でしたが、その取り込んだ地域の女神もそれに合わせて変えるというのはちょっと横暴かな・・・・。
という訳で今回のまとめ
- アルティオはケルト神話の熊の女神
- 1832年にスイスで銅像が発掘
- 銅像には「作物を載せた籠」が置かれている
- 豊穣の女神と解釈される
- 「聖婚」を表していると解釈される
- ローマ帝国に組み込まれ「女神」から「男神」に変化した
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