今回紹介させていただくのは
死を予言する女神
ネヴァン
です。
ケルト神話に興味がある方はぜひ一読してみてください。
[スポンサーリンク]ケルト神話のネヴァンとは?
ネヴァンはケルト神話におけるトゥアハ・デ・ダナーン神族の一族です。
戦いの女神の1柱でもあり、その存在が死を意味する女神です。
~ネヴァンのプロフィール~
- 欧文表記: Nemain
- 名前の意味: 毒のある女
- 種族: トゥアハ・デ・ダナーン神族
ある妖精の原型
ネヴァンはこの後記述しますが、これから死ぬ戦士の鎧を泣きながら洗います。
同じようなことを「妖精バンシー」が行いますので、ネヴァンがモデルともいわれています。
3柱の女神で戦いの神たち
ネヴァンは戦いの女神であり、戦士たちを支える・・・・・というのではありません。
彼女は、モリガンと同じように「ワタリガラスの姿」で戦場を飛び回ります。
3女神たちは「存在だけでなく、わめき声で恐怖を巻き起こす」という能力を持っていて、敵味方関係なく目標としています。
そのわめき声を聞いた100人の兵士を恐怖だけで死亡させるという逸話もあります。
特に、ネヴァンは悲惨な殺し合いが行われている戦場において、戦士たちを狂乱させ、さらに殺戮を引き起こします。
[スポンサーリンク]ネヴァンが現れる=死の宣告
先ほど、ネヴァンは「さらなる殺戮を呼び起こす」と言いましたが、彼女は戦士たちに死を予言する「浅瀬の洗い手」の役割が強いです。
~ 浅瀬の洗い手 ~
ネヴァンは小川の浅瀬に座り込み、目を真っ赤に泣き腫らしながら、戦死者たちや、死にゆく運命にある者たちの鎧や兜を洗う。
ネヴァンに名前を尋ねると、答えを返してくれるが、その名前はネヴァン自身の名前ではない。
その名前は、近いうちに死ぬ者の名前である。
といった感じで、ネヴァンが姿を現すのは誰かの死を意味しています。
ネヴァンはクー・フーリンの死を予言
ネヴァンはバイヴの1柱「モリガン」と同じく、英雄クー・フーリンの最後に深く関わりを持っています。
モリガンの場合は求愛を受け付けなかったことに対し、あの手この手で襲って、最後は和解しています。
~ クー・フーリンとネヴァン ~
クー・フーリンが最後の戦いの戦場へと向かう途中、ネヴァンは「浅瀬の洗い手」として目の前に現れた。
彼女はクー・フーリンの鎧を泣きながら洗い、彼の死を予言した。
彼は最後の戦いで、自分の誓いを逆手に取られて敗北し、死ぬ直前に岩に体を固定し、相手の軍隊を睨みつけたまま亡くなりました。
クー・フーリンの死から3日後に、ネヴァンはカラスに姿を変えて彼の体の上を飛び回った。
本来であればカラスに反応するのだが、クー・フーリンは一切反応を示さなかった。
このことが意味するのは「クー・フーリンの完全なる死の証明」です。
カラスと英雄の死?
正直、この辺りが一番わかりにくいと思います。
ケルト神話における「カラスの役割」はこの戦いの3女神のように、
戦場にカラスの姿で飛び回り、殺戮と死を兵士にもたらす
ものです。
兵士はカラスの声を聴いて半ば狂乱状態に陥ってしまいます。
時には役立つこともあるといわれていますが、それでも疫病神であることに変わりありません。
そんなカラスに英雄のクー・フーリンが一切反応しないというのはあり得ません。
なので、「英雄がカラスに反応しない」=「英雄の死」を証明するのではないのかと考えられます。
まとめ: ネヴァンはこんな女神様
今回は世界でも最も怖い「死」に関する女神ネヴァンについて紹介させていただきました。
カラスって見た目もさることながら、色合い的に不幸の象徴となっていますよね。
戦場では死肉を貪ることもあるそうなので、「戦場でカラスを見る=死」と繋がっていったんでしょう。
というわけで今回のまとめ
- ネヴァンはケルト神話におけるトゥアハ・デ・ダナーン神族の一柱
- マッハ、モリガンの3柱で「バイヴ・カハ」という女神
- 戦場にカラスの姿で現れて、兵士たちを声で恐怖させる
- 「浅瀬の洗い手」という死を予言する役割
- 死ぬ兵士の鎧などを泣きながら洗う
- 名前を聞くと、もうすぐ死ぬ人間の名前を返してくる
- クー・フーリンの死を予言し、彼の死後を確認した