今回お話するのは
本当は強い騎士
ガウェイン
です。
ガウェインとは?
ガウェインはアーサー王伝説における円卓の騎士の一人。
イングランドの北部の島々の王「ロット王」の子供の一人であり、名前は古い言葉で「金髪」を意味する。
~ガウェインのプロフィール~
- 欧文表記: Gawain
- 別表記: ゴーヴァン
- 父: ロット王
- 兄弟: ガヘリス、ガレス、アグラヴェイン
- 初登場: キャクストン版第1巻2章
この他にも
- アーサー王の即位と欧州統一
- 円卓の騎士の冒険とロマンス
- 聖杯探索
- アーサー王の死
などに登場しています。
ガウェイン4兄弟の一人
ガウェイン4兄弟とは
の4人であり、彼らは後に全員が円卓の騎士として様々な活躍を果たす。
この4兄弟は物語で様々な活躍をしていたが、母親を殺したり、粗暴な感じで描かれたりと特に優遇はされていない。
ただし、ガレスだけは円卓の騎士の中でも良い騎士として描かれている。
しかし、全体としてガウェイン4兄弟は円卓の騎士の中でも「暗い存在」として扱われる。
ガウェイン: 円卓の騎士としての活躍
ガウェインは物語の最初の方で円卓の騎士に加入している。
その後のヨーロッパ平定の戦争時に、「五王の反乱」によって8人の円卓の騎士が死亡。
ペリノ―王が死亡した8人の騎士の補充を依頼した時、
ガウェインはいつの時代の騎士にも引けを取りません
というお墨付きで8人の騎士の1人として選出された。
ちなみに、これ以外にも選ばれた騎士は
- ユーリエンス王
- ハーヴィス・ド・レヴェル
- 湖の王
- ガラガース
- グリフレッド・ル・フィス・ド・デュ
- ケイ
- トー
の7人の騎士。
ガウェインの能力は「朝日が昇ってから正午までの間、力が3倍になる」という力。
さらに、湖の乙女に与えられた「ガラティン(一説ではエクスカリバーの兄弟剣)」を携えている。
これらの力を使い、ヨーロッパ平定、ローマ軍との戦争、様々な冒険で大きく活躍を果たしている。
ガウェイン: 小悪党のように
ガウェインは確かに強い騎士である。
物語によっては「アーサー王よりもエクスカリバーに相応しい」という表記もあるほど。
だが、「アーサー王の死」では性格の悪い小悪党のようにされている。
- 兄弟(ガレス除く)と共謀して仲間の騎士を陥れたり暗殺をする
- ペレアスという騎士が恋した貴婦人を横取りする
- 貴婦人を殺害し、その遺体をキャメロットに連れて行った
3番目は戦いで敗れて捕虜になり、解放する代わりに「ガウェインが命乞いをした騎士の恋人を誤って殺害した」という騎士道に反する行為をアーサー王に伝えるためであった。
この部分を少し掘り下げると、キャクストン版3巻にある。
~白い雄鹿の探求~
アーサー王とグィネヴィア王妃の婚礼の式が挙げられた。
その時、白い雄鹿が玄関に駆け込んできて、その後から白い雄の猟犬と30つがいの黒い猟犬が走りながら駆け込んできた。
白い猟犬が白い雄鹿の尻の肉を1片むしり取った。
白い雄鹿は大きく飛び上がり、食卓の側にいた騎士を1人跳ね飛ばした。
跳ね飛ばされた騎士は、猟犬を捕まえて馬に乗ってどこかに行ってしまった。
するとすぐ後に、白い小馬にのった貴婦人が現れて、大声で
あの騎士が連れ去った猟犬は私のなのです。
どうか連れ戻してほしい
と願ったが、突如全身に鎧をまとった騎士が大きな馬に乗って現れて、その貴婦人を力づくで連れて行った。
アーサー王は「うるさい女が消えてよかった」と喜んだが、マーリンの助言もあって、騎士と白い雄鹿と貴婦人と猟犬を連れ戻す命令を3人の騎士「ガウェイン」「トー」「ペリノ―王」にそれぞれ命令。
ガウェインとガヘリス(従者として同行)は「白い雄鹿」
トーは「馬に乗って猟犬を連れ去った騎士」
ペリノ―王は「騎士に連れ去られた貴婦人」
とそれぞれ探しに行く旅に出た。
ガウェイン達は雄鹿が追いやられた城に入ったが、そこで白い雄鹿は猟犬に殺されていた。
すると、白い雄鹿の持ち主の騎士アブラモアーが猟犬を殺し、怒りのあまりガウェイン達も殺害しようとした。
だが決闘でそのアブラモアーは敗北し、助命を懇願したがガウェインは騎士道に反して首を切り落とそうとした。
すると、その時アブラモアーの恋人の貴婦人が騎士に覆いかぶさったので、誤ってこの貴婦人の首を切り落としてしまった。
その後、同じ城で貴婦人が殺されたことに怒った4人の騎士に襲われて2人は敗北。
殺されるかと思いきや、4人の貴婦人の助命により命を助けられた。
解放する代わりに、殺害した貴婦人の首を馬の首に吊り下げ、体を馬のたてがみに乗せてキャメロットに向かうことと約束。
アーサー王とグィネヴィア王妃はガウェインに非常に腹を立てた。
そして、ガウェインは「貴婦人には常に礼儀正しく、助けを求められたら必ず助けること、慈悲を乞う者には必ず慈悲をかけること」という誓いを立てさせられた。
作者の思惑が入っていた?
ガウェインがこういった騎士道にちょくちょく反し、負けた後に別の騎士が敵を倒す。
そんな引き立て役であり、思慮に欠ける行動などやはりどこか貶められたように描かれたのは、このキャクストン版の作者「トマス・マロリー」の思惑があったのではないかと。
日本でよく知られているアーサー王伝説は、彼が再編した「アーサー王の死」が主である。
作者はフランス出身であり、ランスロットもフランスの騎士である。
特にランスロットを良く見せたいが為、意図して優秀な騎士を貶める必要があり、そのやり玉として挙げられたのが、ガウェインなのではないかと。
ガウェイン: 騎士の最期
悪く描かれるも、アーサー王に忠誠を誓い、王の為に力を尽くした騎士はなぜ死んでしまったのか?
彼の最期のお話はキャクストン版の終盤
- ランスロットとの内戦
- モードレッドとの内戦
この2回の戦いで、彼は死亡している。
それぞれ、軽く経緯などを見ていく。
内乱とランスロットとの戦い
ガウェインはランスロットと王妃グィネヴィアの不倫問題で、兄弟を全員殺害されている。
このことでランスロットとは完全に敵対しており、ランスロットの逃亡先のフランスでの戦いにおいても、元仲間たちを容赦なく倒している。
そのフランスでの戦いでランスロットと一騎打ちを行い、その特殊能力によって殺害しようとしている。
しかし、ランスロットは正午まで彼の猛攻を凌ぎ、ガウェインに勝利している。
(ランスロットに特殊な力はない)
結局3回の決闘を行うも、その全てでガウェインはランスロットに敗北している。
モードレッド軍との戦い
フランスでの戦いの最中に、アーサー王の隠し子のモードレッドが反乱を引き起こした。
そして、モードレッド軍とアーサー王軍の戦いがドーヴァーから始まった。
アーサー王軍は必死に上陸し、モードレッド軍はそれを阻止したが、モードレッド軍は敗走。
アーサー王軍はイングランドに上陸が出来たが、この戦いでガウェインは重傷を負う。
彼は死ぬことを悟り、ランスロットに手紙を書いた。
モードレッド卿が反乱を起こしてしまった。
彼はグィネヴィア王妃と結婚をしようとしている。
どうか、援軍を送ってほしい。
この手紙を残し、彼は死去してしまった。
彼の遺体はドーヴァー城の礼拝堂に埋葬され、その後幽霊となってアーサー王に助言をしたりしている。
まとめ: ガウェインはこんな円卓の騎士
今回は円卓の騎士の一人ガウェインについて紹介させていただきました。
このアーサー王物語では、ガウェインは良く描かれていませんが、イギリスなどの物語では良く描かれているそうです。
ある意味、作者の事情で良く描かれなかった被害者なのでしょう。
という訳で今回のまとめ
- ガウェインは円卓の騎士の1人
- ロット王の息子で、ガウェイン4兄弟の1人
- 日が昇ってから正午まで、力が3倍になる力を持っている
- ガラティンを持って目覚ましい活躍をしている
- 騎士道に反したり、思慮に欠けるなど良くない描かれ方をしている
- 他の騎士の引き立て役として描かれることも
- 内乱においてランスロットと3回戦い、全て敗北している
- モードレッドの内乱の戦いで戦死している
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