今回お話するのは
大きなコートは父の形見
ブルーノ
です。
ブルーノとは?

ブルーノはアーサー王伝説における円卓の騎士の一人。
「不格好にコートを着た男」という意味の「ラ・コート・マル・タイユ」の名前を持つ。
~ブルーノのプロフィール~
- 欧文表記: La Cote Male Tayle
- 別表記1: ラ・コート・マル・タイユ
- 別表記2: ブレウノール
- 初登場: キャクストン版第7巻27章
- 円卓の騎士の冒険とロマンス
などに登場しています。
父の仇である大きなコート

騎士ブルーノは「ラ・コート・マル・タイユ」という名前があります。
このあだ名の由来は彼の着ていた「コート」に由来。
この「コート」は金の布地で作られており、彼の父を殺した仇を討つことを誓い着ていました。
ですが、彼はこの時まだ若く,父のコートはぶかぶかでした。
その為、騎士ケイは彼のことを「だぶだぶのコートを着た男」を意味する「ラ・コート・マル・タイユ」と侮辱していました。
勇敢な魂を持つ騎士

ブルーノは物語に初めて登場した時は「若く未熟であり、馬上戦闘が苦手」という技量不足な騎士であった。
そのような欠点には他の円卓の騎士たちも心配する程であった。
しかし、ブルーノはその技量不足を補う程の強い勇敢な魂を持っている。
~ライオンとの戦い~
ブルーノは技量不足から円卓の騎士としては認められていなかった。
そんなある日、アーサー王が狩りに出かけた時、石の塔で飼われていた凶暴なライオンがグィネヴィア王妃に襲った。
他の騎士たちが恐れて逃げ惑う中、彼はたったひとり恐れずに剣を抜いた。
そして、襲ってきた凶暴なライオンを正面から斬りかかり、たった一撃でライオンの頭を両断した。
このライオンを撃退した武勲を讃えられ、ブルーノは騎士として正式に任命されたのであった。
(実はライオンを殺さなくても、アーサー王はブルーノを騎士に任命しようとしていたらしい。)
最も困難な冒険「黒い盾の冒険」

ライオンを撃退し、その勇気を認められて円卓の騎士として任命された日に彼の最大の冒険が訪れる。
ある日「マラディザンド(フランス語で「罵る者」)」という乙女がアーサー王の城にやってきた。
そして、「黒い楯の冒険」に挑戦する騎士を求めた。
この冒険は
黒い盾の持ち主である騎士が瀕死状態であった。そこで、その盾を乙女に「誰か立派な騎士に渡して自分の冒険を引き継いでほしい」と頼んだ
というものであった。
そこで、ブルーノはその冒険に名乗りを挙げるのであった・・・・。
ただ、乙女は何やらブルーノに対して不満があった様子・・・・。
冒険譚:「黒い盾の冒険1 ~冒険の始まり~」

ここから、ブルーノが経験した「黒い盾の冒険」を記していきます。
~黒い盾の冒険~
ブルーノは冒険に名乗りを挙げて、旅の支度をしていた。
乙女はブルーノを放っておいて旅に出てしまったので、ブルーノはすぐに後を追った。
しばらくして乙女に追いついたが、彼女はブルーノを罵った。
そんな彼らに対して、騎士のケイは道化でもあるダゴネットと馬上槍試合をするよう命じた。
ダゴネットとブルーノの戦いは、ブルーノの圧勝で終わったが、乙女は
「最初の戦いで道化を仕向けられる程度の実力しかないのですか?宮廷では随分と馬鹿にされているのですね」
と酷く罵倒した。
しばらくすると、今度は騎士ゲイネス、パロミデスが馬上槍試合を挑んできた。
これらの試合でブルーノは敗北し、徒歩での試合を申し込んだが拒否されてしまった。
これに対しても乙女はブルーノを酷い言葉で罵ったのであった。
「あなたの実力は所詮道化にしか通用しないのですね」
ブルーノは乙女から酷く罵られながらも、旅を続けた。
旅の途中で騎士モードレッドが合流し、3人はオーグラス城に到着した。
その城の掟で、「馬上槍試合をするか、捕虜になるか、馬や武具を置いていくか」を選ばなければならなかった。
そこで、二人の騎士がブルーノとモードレッドにそれぞれ試合を挑んだ。
試合は「モードレッドが敗北」し、「ブルーノは一人目と相打ち、一人目の乗っていた馬に乗り、モードレッドを倒した騎士に勝利」という結果となった。
試合の後、ブルーノは最初に戦った騎士を追いかけて、オーグラス城内で殺害してしまった。
この殺害によって、城内にいた騎士たちがブルーノに襲い掛かった。
100人の騎士に囲まれ。ブルーノは苦戦し、馬から降りて、婦人部屋の壁を背にして戦っていた。
その戦いぶりに感心した婦人部屋の主人は、ブルーノに助言。
「裏口に馬を繋いでいるので、そこから何とか逃げてください」
ブルーノは城内で最も強い12人の騎士を殺し、城から何とか脱出。
モードレッドと乙女と合流することが出来た。
この時、モードレッドが乙女にブルーノを罵倒しないように諫めた。
冒険譚:「黒い盾の冒険2 ~囚われのブルーノ~」

~黒い盾の冒険~
一方、最強の騎士ランスロットがブルーノの話を宮廷で聞いた。
ブルーノと一緒にいる乙女のことや老練な騎士を探していることを知っていたので、ブルーノには荷が重いと思い、彼の後を追いかけていった。
一行に追いついた時、モードレッドは一行から離れた。(仲が悪かったことが理由とされる)
ランスロットが乙女にブルーノの悪口を言わないように戒めると、彼女は今度はランスロットを罵倒し始めたのであった。(ランスロットと彼らは気が付いていない。)
旅をしている時、騎士トリストラムから手紙を預かった女性がランスロットのところに訪れた。
その手紙の返事を書くためにランスロットは一行から一時離れた。
そして、二人はペンドラゴン城に辿り着いたのであった。
その城から6人の騎士がやってきて、ブルーノは槍試合で1人を倒すことに成功。
しかし残りの5人に同時に襲われてしまい、捕虜になってしまった。
乙女とブルーノはペンドラゴン城に囚われてしまったのであった。
その頃、返事の手紙を書き終えたランスロットは急いでブルーノたちを追いかけた。
途中の橋の上に立ち塞がる騎士を倒し降伏させた。
この騎士はランスロットがかつて騎士に任命したライルであり、彼はランスロットを主と仰いでいた。
ライルは知らなかったとはいえ、なんてことをしたのだと悔やんだが、ランスロットは彼の成長を喜んだ。
ライルはランスロットに
「ペンドラゴン城には近づかない方がいいです。その城には乙女と旅をしていた円卓の騎士が捕らえられています。」
と教え、ランスロットはペンドラゴン城へ赴いたのであった。
城についたランスロットは6人の騎士を打ち倒した。
すると、ペンドラゴン城の主でもあり、アーサー王の強敵でもある騎士「アイルズ」が現れた。
ランスロットとアイルズは馬上槍試合で引き分けだったが、徒歩戦でランスロットが勝利。
アイルズに城の囚人(アーサー王の騎士30人と40人の婦人)を解放させ、その場から立ち去って行った。
解放されたブルーノと乙女は、とある女性(ライルがランスロットの活躍を知るために送り込んだ)から事情を聞いた。
そして、自分たちと旅をしていたのはランスロットであることを知り、彼の後を追いかけ、今までの非礼を詫びたのであった。
冒険譚:「黒い盾の冒険3: ~乙女の本音~」

~乙女の本音~
ランスロットに今までの罵詈雑言を浴びせたことを詫びた乙女マルディサント。
実は「ブルーノに愛情を抱いており、黒い盾の冒険を引き受けるには若すぎて、かつ優しすぎると思って冒険を途中で辞めてほしいと思って今まで悪く言っていた」ということを告白。
この時からブルーノと乙女はお互いに愛しあった。
ランスロットは乙女を「ビアンパンサント」と呼ぶことにし、彼らは長旅の末、サールースの国境まで来た。
そこには美しい村があったが、そこには砦と橋が架かっていた。
砦の番兵曰く
黒い盾を持っているのでは橋と砦を渡すことはできないが、一度に一人ずつなら渡れる
ということであり、ランスロットが渡ろうとしたが、ブルーノの頼みで彼が一番に渡ることになった。
橋を渡ろうとしたブルーノの前に騎士「フォルス」と「アムール」が立ち塞がった。
ブルーノは二人を馬上槍試合で打ち負かし、その後の徒歩戦でも2対1で降参させた。
今度は騎士プレノリアスが立ち塞がり、馬上槍試合を行うことになった。
馬上槍試合では両者ともに落馬し、徒歩戦で戦うことになった。
しかし、ブルーノは馬上槍試合で重傷を負っており、徒歩戦では敗北してしまった。
プレノリアスはブルーノの素晴らしい戦いぶりに敬意を表し、自分の塔で手当てをした。
その後、ランスロットがブルーノの代わりにプレノリアスと戦い馬上槍試合で引き分け。
ピローンズ、ペログリス、ぺランドリスとも戦い、プレノリアスを含む4人全員を打ち負かした。
そして、囚われていたスコットランドのキャラドス王含む多くの騎士を解放。
ランスロットはこの砦や橋をブルーノに与えようとしたが、ブルーノはプレノリアスにお世話になった恩で拒否。
ランスロットは代わりにアーサー王の家臣となる条件で彼らを許した。
そして、ブルーノは傷が治るまでゆっくり休養を取ったのであった。
冒険譚:「黒い盾の冒険4 ~冒険の終わり~」

~冒険の終わり~
ブルーノと乙女一行が休養した後、騎士ケイとブランディリスが合流。
10日後に彼らは砦を後にした。
一方、ランスロットはペンドラゴン城に赴き、アイルズがアーサー王に仕えようとしなかったので国から追い払った。
そして、ペンドラゴン城とその領土をブルーノに与えた。
それからライルを呼び出して、ブルーノの城と領土を管理するように命じてから、ブルーノ一行はアーサー王の宮廷へと帰っていった。
宮廷に帰還した一行。
次の聖霊降臨祭の祝日に、ブルーノとプレノリアスの2人が正式に円卓の騎士に命じられた。
そして、ブルーノは相思相愛となった乙女マルディサント(ビアンパンサント)と結婚。
父の仇も果たし、世界で最も困難な「黒い盾の冒険」を見事果たしたブルーノの物語はここで終わる。
ガレスと似た冒険譚

ブルーノの物語はかなり長くなってしまいましたが、この物語はガレスとよく似ています。
ガレスの物語は
- 名前を身分を隠している
- 無名の若者であった
- 乙女に侮辱されながらも旅に出る
- 冒険の末に栄誉や乙女の愛を得る
- 気雨季な血筋や身分の者と判明
という内容であり、ブルーノ物語と似たような筋書きです。
こういった物語は世界中でも見られますが、ある意味で王道過ぎる物語です。
それ故に面白く、ランスロットが介入してもブルーノ自身が主人公であることは明確にしてくれています。
マロリーがブルーノとガレスの物語が似ているのは、王道を貫いたからなのでしょう。
まとめ: ブルーノはこんな円卓の騎士

今回は円卓の騎士の一人ブルーノについて紹介させていただきました。
ブルーノの父の仇は最後の数行で終わっていますが、そこだけが不満です。
しかし。乙女の罵詈雑言はよほどの精神がなければ下手したら自殺してしまいますね・・・。
という訳で今回のまとめ
- ブルーノは円卓の騎士の一人
- 殺された父の仇の「金の布地で作られた立派なコート」を着ている
- 若いブルーノはケイに「不格好にコートを着た男」と馬鹿にされていた
- 技量は未熟だが、ライオンを正面から一刀両断する勇気を持つ
- 黒い盾の冒険という世界で最も難しい冒険に成功
- 旅を共にした乙女に暴言を吐かれながらも相思相愛となる
- 城と領地を拝領し、乙女と結婚を果たす
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