今回お話するのは
アーサー王の敵となった王
ロット王
です。
ロット王とは?
ロット王はアーサー王伝説における騎士の一人。
ブリテン島北部のスコットランドよりも北の「オークニー諸島」を領有する王であった。
~ロット王のプロフィール~
- 欧文表記: King Lot,King Loth
- 別表記: ロト王
- 出典: ブリタニア列王史
- 初登場: キャクストン版第1巻2章
- アーサー王の即位と欧州統一
などに登場しています。
ロット王: 4兄弟の父
ロット王は「ガウェイン4兄弟」の父となる。
ガウェイン4兄弟とは
の4人であり、彼らは後に全員が円卓の騎士として様々な活躍を果たす。
この4兄弟は物語で様々な活躍をしていたが、母親を殺したり、粗暴な感じで描かれたりと特に優遇はされていない。
ただし、ガレスだけは円卓の騎士の中でも良い騎士として描かれている。
とはいえ、アーサー王の敵であったその関係性が、その子供にまで影響しているように感じる。
ロット王: 11人の王の連合軍
ロット王は「アーサー王の死」の物語の序盤におけるアーサー王の最初の敵です。
実はアーサー王がブリテンの王として即位した当時、北国だけだなく複数の諸国と敵対関係にありました。
かつてカーリオン(アーサー王の居城?)で受けた屈辱の為に、6人の王が立ち上がった。
そして、様々な手口を使って5人の王を仲間に引き入れた
元々、アーサー王を認めないことや、北国の諸国との敵対関係も相まって、11人の王による連合軍が結成。
彼らは「アーサー王を倒すまで、決して仲間を見捨てない」と誓い合い、大軍を連れてアーサー王に戦いを挑んだ。
カンベネット公 | 5000人の騎馬兵 |
ブランドゴリス王 | ストランゴーの王 5000人の騎馬兵 |
クラリヴァンス王 | ノーサンバーランドの王 3000人の兵士 |
百騎王 | 非常に若い立派な王 4000人の騎馬兵 |
ロット王 | 立派な騎士 5000人の騎馬兵 |
ユーリエンス王 | ゴールの国の王 6000人の騎馬兵 |
イードラス王 | コーンウォールの王 5000人の騎馬兵 |
クレイドルマント王 | 5000人の騎馬兵 |
アグウィッサンス王 | アイルランドの王 5000人の騎馬兵 |
ネントレス王 | 5000人の騎馬兵 |
キャラドス王 | 5000人の騎馬兵 |
合計5万人の騎馬兵と歩兵1万人の大軍となり、アーサー王へと進軍を開始したのであった。
ロット王: アーサー王に対する完全な敵意
アーサー王と2人の王および彼の騎士たちと、11人の王による連合軍同士の争いは激しさを増していきます。
しかし戦いは拮抗かつ膠着状態に陥り、11人の王の連合軍は撤退せざるを得なかった。
そこで、ロット王は「アーサー王の宮廷の内情を探るため」に、使者という名目で
- 豪華に装った自分の王妃: マーゴース
- ガウェイン4兄弟
- たくさんの騎士と侍女
をアーサー王に遣わした。
だが、その派遣がアーサー王の物語を大きく動かし、ロット王とアーサー王の対立を決定づけるものとなった。
~愛した王妃は実は~
アーサー王は軍勢を連れてカーリオンへと戻った。
するとそこへロット王の妃、ガウェイン4兄弟、騎士、侍女たちが使者という名目で訪れた。
彼らは「アーサー王の宮廷内部の事情を知る」ために遣わされた使節団であった。
アーサー王はロット王の王妃が非常に美しかったので、激しい恋心を抱いた。
そして、床を共にしたいと強く望んだ。
王妃も同意し、アーサー王と同衾(床を共にする)して騎士モードレッドを産ませた。
ロット王の王妃の名前は「マーゴース」であり、彼女の姉の名前は「イグレイン」。
そして、アーサー王の母親の名前は「イグレイン」。
つまり、アーサー王とマーゴースは肉親関係であり、近親相姦に当たる。
そして、産まれた騎士モードレッドは後に「呪われた子」として海に流されている。
そして、このことを知ったロット王はアーサー王と完全に敵対することとなった。
12人の王の連合軍
こうしてロット王と完全に敵対していた頃の少し前。
北ウェールズのライエンス王が11人の王に勝利し、12人の王による連合軍となっていた。
そして、ライエンス王はアーサー王にあることを要求した。
アーサー王の顎髭で私のマントの縁を飾りたいのでよこせ。
さもなくば、貴様の領地で家を焼き、民を殺す。
そしてお前の首と顎髭を頂くまで帰らないであろう。
当然このことに対してアーサー王は
なんと傲慢で無作法か。私には顎髭が十分に生えそろっていない。
貴様が私に膝をついて忠義を誓うか、もしくは貴様の首を切り落とす。
私に忠誠を誓うか、それとも首を刎ねられるか選ぶがよい
そして、お互いに連合軍を率いて戦争を開始。
ロット王も、王妃と子供の件でアーサー王に対して大軍を率いて戦いに挑むのであった。
ロット王の死
両軍の1回目の衝突は激しかったが、戦況はアーサー王とその軍勢に傾いていた。
というのも、魔術師マーリンが2つの未来を知っていた。
1つ目 | ロット王が1回目の衝突に参加していれば、アーサー王に勝つことが出来る |
2つ目 | その日の戦いで「ロット王」か「アーサー王」のどちらかが必ず死なないといけない |
マーリンは
どっちも死ぬのは良しとしないが、どちらかというならアーサー王に死んでほしくないし、ロット王に死んでもらおう
と「ロット王に嘘の予言で1回目の戦闘に参加させなかった」のであった。
また、アーサー王側のベイリンと「二本の剣を帯びた騎士」たちの活躍により12人の王の連合軍は半壊状態に。
この絶体絶命状態に対しロット王は
軍の大半を失ってしまった今、戦うべきなのか、和解するべきなのか
と悩んだが、周りの騎士たちは
王よ。戦いましょう。奴らは疲弊しています。我らは疲弊していません。
と進言したので、ロット王は決意した。
私に言えることは、ただ一つ。私が自分の力を尽くすように、騎士たち皆がその力の全てを尽くしてほしい。
こうして、残されたロット王とその軍はアーサー王の軍に最後の攻勢に挑んだ。
騎士たちは死力を尽くして戦い、数多くの武勲を挙げたが、アーサー王の軍の前に次々と倒れていった。
ロット王も、騎士ペリノ―の一撃で乗っていた馬の首が落とされ、落馬したところを強烈な一撃を入れられた。
ロット王はペリノ―の兜を破る鋭い一撃により絶命。
また、この戦いで12人の王も全員が死亡したのであった。
まとめ: ロット王はこんな騎士
今回は騎士の一人ロット王について紹介させていただきました。
マーリンはあるゲームで「グランド屑」「詐欺師」といわれていますが、割とその通りです。
ロット王もある意味で彼の被害者でもあります。
という訳で今回のまとめ
- ロット王はアーサー王伝説の王様
- スコットランドより北部のオークニー諸島の王
- ガウェイン4兄弟の父
- 11人の王による連合軍を結成し、アーサー王と戦う
- アーサー王が王妃と寝たことにより完全に敵対
- 12人の王の連合軍とアーサー王の戦いで死去
- 騎士ペリノ―と戦い、倒されている
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