今回お話するのは
円卓の騎士
基本情報
です。
色々な作品に影響を与えてきた騎士たちの基本的な情報をお話していきます。
円卓の騎士とは?
円卓の騎士は「アーサー王伝説」に登場する騎士団、およびそこに所属する騎士たちの総称。
「円卓の席」に認められたもの、アーサー王の部下など「円卓の騎士」は数多く存在。
一人一人が主人公クラスの物語を持ち、「騎士道精神」に基づいて行動を行う。
物語の序盤からアーサー王に忠誠を誓った者、物語の途中で円卓の騎士に加入した者。
様々な経歴を持つが、全員が「王に絶対の忠誠を誓った騎士」という。
だが、騎士と言えど人間であり、愛に溺れる者、騎士道から外れてしまう者もいる。
そのような「遠いように見えてどこか近い存在」が円卓の騎士でもある。
円卓の騎士の歴史
アーサー王には元ネタとされる「6世紀~7世紀頃のブリトン人の軍人」がいます。
この指揮官がサクソン人の侵略者と戦った活躍が伝説化したという説が有力。
そして、円卓の騎士の原典となるのは11世紀末~12世紀に度々起きた「十字軍」。
彼らはキリスト教を信仰する騎士たちによる、聖地エルサレムを奪還することを目的とした遠征軍のこと。
この時の出来事は、当時ヨーロッパの「力こそ正義」「自己利益優先」の騎士たちに
- 神に導かれた正義の戦争
- 寛容心・誠実・信仰心
といった価値観を与え、そこから「騎士道精神」の文化に発展。
それと同時に発展した「騎士文学」において、「架空の騎士たちの活躍」を描いた作品が登場。
この騎士たちが後の作品に登場した際に、「アーサー王の部下」となっていった。
円卓の騎士になる条件
円卓の騎士には「アーサー王からの任命」で正式に加入することが出来る。
その「アーサー王からの任命」は
- アーサー王に任命してもらうよう請願
- 円卓の騎士からの推薦
- 戦争などで武勲を挙げる
があるが、それ以上に求められる条件があり、
- 乱暴、非道、殺人行為はしないこと
- 国家や主君に反逆しないこと
- 決して残忍にならず、慈悲を求める者に慈悲を与えること
- 貴婦人、紳士、未亡人の援助者となること
- 決して婦人、紳士、未亡人に強要してはならない
- 恋愛や財産のために、不正な争いを行なってはならない
という6つの基本的な規律に加え、
- 兜を脱いではならない
- 好奇心を追及すること
- 求められた時、全ての強さを使って弱き者の権利を守ること
- 誰も傷つけてはいけない
- お互い攻撃してはいけない
- 国の安全の為に戦うこと
- 国の為に命をかけること
- 名誉以外に求めないこと
- どんな理由があっても約束、誠実さを破らぬこと
- とても熱心に宗教的な行いをすること(キリスト教)
- 誰に対しても親切にもてなしをすること
- 名誉なことも不名誉なことも、真実を忠実に報告すること
という12の基本的なルールがある。
しかし、これら目指すべき騎士道の心を持つ円卓の騎士たちであっても、どこか人間らしい感情に流されてしまうこともある。(それが面白いところ)
貫き通さなければ騎士になれないわけではないが、円卓の席に座るには後述する条件を満たさないといけない。
円卓の席と仕組み
円卓の席は円形状に配置されているが、これは
円形状に配置することで、騎士間の立場を無くす
という「円卓の騎士はみんな平等である」という意図があり、席の数はイエス・キリストの
イエス・キリストと12人の使徒
から由来しており、「アーサー王の分も含めた13席」あるとされている。
ただ、円卓の席には以下のような仕掛けが施されていた。
円卓の席に空きが出来た時、その席に座っていた騎士よりも勇気と武勲を示す必要がある。
出来ない場合、マーリンが席に施した魔法により弾かれてしまう。
13番目の席は「裏切りのイスカリオテのユダ」であるので、特別な呪いが仕掛けられており、座る者には呪いに蝕まれる。
ランスロットの息子「ガラハッド」が13番目の席に座ったことで、死ぬまで円卓の席が全て満たされるようになった。(ガラハッドが死んだ以降はまた空席となる)
円卓の騎士の人数
人数は文献によって変化します。
- 13名~25名
- 300名以上
どの文献においても、人数の差は結構あり、正確に円卓の騎士の人数を決めることは難しいとされています。
ですが、前述したとおり「円卓の席はアーサー王のも含めて13席」あるとされている。
とはいえ、円卓の席は空席が出来ることもある。
その為
- 狭義的:「円卓の席に座れるものが円卓の騎士」
- 広義的:「アーサー王の部下が円卓の騎士」
といった風に定義されているのが一般的で、必ずしも
「円卓の席に座れない=円卓の騎士ではない」
というわけではない。
25名の円卓の騎士一覧
円卓がある町ウィンチェスターには騎士の名前が書かれている。
そこには25名分の名前があり、13席あるという円卓の数より明らかに多いです。
この理由は「14世紀に円卓の席がこの町に作られた」という話があるからです。
(アーサー王伝説の物語はもっと前から存在する。)
では、このウィンチェスターの街の円卓の席に刻まれているアーサー王を含む25人の名前を記していきましょう。(名前をタッチすると、その記事に飛びます。)
また、13名の円卓の席に座っている騎士は「アーサー王~ランスロットの11人+枠外の2人」です。
アーサー王 | 言わずと知れた円卓の騎士の頂点に立つ男性 |
ガラハッド | ランスロットの息子。 聖杯探索を成功させた騎士でもある。 |
ベディヴィア | 円卓の騎士の最後の戦いの生き残りの一人。 湖の乙女にエクスカリバーを返す役目を負った。 |
ボールス | 聖杯探索の成功者の一人。 アーサー王に打ち勝つ実力も持つ。 |
ラモラック | ペリノ―王の息子で、円卓最強の3人の一人。 人間関係のもつれで殺害された。 |
ケイ | 新参者の騎士に酷いあだ名を付ける騎士。 |
ガウェイン | 円卓のガウェイン4兄弟の一人。 午前中に3倍の力を発揮する力を持つ。 |
トリスタン | 円卓最強の3人の一人。 |
パーシヴァル | 聖杯探索の成功者の一人。 聖杯を手にはしていないが、元々は彼が獲得している。 |
ガレス | 円卓の騎士の中で最も誠実と言われた騎士。 「白く美しい手」と馬鹿にされていた。 |
ランスロット | 円卓最強の3人の一人。(実質円卓で一番強い) グィネヴィア王妃と不倫して内戦に発展した。 |
サフィア | パロミデスの弟。 ランスロットに従った騎士でもある。 |
グイングレイン | ガウェインの長男 |
ブルノール | 詳細は不明 |
パロミデス | サセラン人(異教徒) |
ルーカン | アーサー王の執事かつ外交役。 ワインを注ぐ係でもある。 カムランの丘で生き残った騎士の1人。 |
ブルーノ | 「黒い盾の冒険」に成功した騎士。 大きいコートを身に着けているのが特徴。 |
ブリオベレス | パトミデスと死ぬまで憎みあう程の仲。 トルコ人と戦い、聖金曜日に死去。 |
モルドレッド | アーサー王に反乱を仕掛けた騎士。 |
エクター・ド・マリス | ランスロットの弟であり、聖杯の恩恵を授かった人。 トルコ人と戦い、聖金曜日に死去。 |
デイゴア | 詳細はよく分かっていないが、アーサー王の酌を取る役とか。 |
ライオネル | ランスロットの従兄弟にあたる。 聖杯戦争の途中に死去。 |
ダゴネット | アーサー王宮廷の道化師でもある。 |
アリノア | アーサー王と共にモードレッドと戦った |
ペレアス | 常に嘆いている「嘆きの騎士」 湖の乙女と結婚をした |
後は
- ゲライント
- ガヘリス
の2名を加えれば、13名の場合の円卓の騎士となる。
全員が強い訳ではない
円卓の騎士たちは「誰よりも強く、勇敢であり、一騎当千の力を持つ」とされます。
しかし、全ての騎士がそれに当てはまるわけではない。
一番有名なのは「ダゴネット」。
この騎士は「アーサー王宮廷の道化師」から「円卓の騎士」になった男。
その為、強さは普通の一般人に毛が生えた程度とされる。
- 経験不足のブルーノに馬上槍試合で勝利。(徒歩戦では完敗)
- 羊飼いたちに勝利
と、戦績も少なく、負けた方が多い騎士もいる。
また、元々は強いのに作者の贔屓により意図的に弱くされてしまうという場合もある。
3つの派閥に分かれていく
そんな円卓の騎士たちも最後の方では3つの派閥に分かれていく。
円卓の崩壊である。
騎士ランスロットとグィネヴィア王妃との不倫が原因となり、円卓内部で内戦が勃発。
この内戦が勃発した時に円卓の騎士たちは
- アーサー王に従うもの
- ランスロットに従うもの
- その他
に分かれていく。
「その他」というのは、円卓の内戦の時には
- 死んでいる
- 騎士としては引退
- どっちについていたのかは不明
の騎士たちです。
お互いに最強の騎士に従った円卓の騎士は、最期の戦いを経て完全に瓦解。
世界最強の騎士たちの物語は終わりを迎えるのであった。
まとめ: 円卓の騎士たち
今回はアーサー王伝説に欠かせない存在「円卓の騎士」について紹介させていただきました。
自分には絶対になれない存在ですし、かつての騎士たちにも憧れの存在であったでしょう。
そんな理想の騎士たちが崩壊したのが「女性関係」というのは、なんというか皮肉というか。
という訳で今回のまとめ
- 円卓の騎士はアーサー王伝説に登場する騎士達
- 11世紀の「十字軍」から騎士文学が発展したのが原典
- 様々な厳しい規範・ルールに従えるものだけがなれる
- 円卓の席は13か25とされることが多い(13という説が高い)
- 円卓の席が空いた場合、武勇を示せれば座ることが出来る
- 円卓の騎士の人数は文献によってバラバラ
- 13名、25名、300人以上という場合もある
- 全員が必ずしも一騎当千というわけではない
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